2006年09月20日

平野 浩の最新デジタル事情

●表現力に乏しいテキストメール

 ITの技術でビジネスの世界で使われているものはたくさんありますが、な
かでも完全に定着したと思われるものに「携帯電話」と「Eメール」がありま
す。この2つについては、今やそれがないと仕事にならないぐらいビジネスに
おける重要な戦力ツールとなっているのです。
 とくにEメールについては、携帯電話から送受信でき、その利便性は拡大し
つつあります。また、Eメールの一種であるメールマガジンは、その使い方を
工夫すれば、営業面において大きな効果を発揮することができます。
 しかし、Eメールの利便性が拡大すればするほど、ユーザとして不満になる
のがEメールの表現能力の低さです。現在のEメールはテキストメールであり
装飾のない文字しか使えず、図や写真はもとより、表ですらも、添付ファイル
にして送る以外方法がないのです。あなたは不ヨとは感じませんか。
 せめて、文字の装飾ぐらいは欲しいものです。文字列を強調したり、斜体に
したり、色をつけたりできれば表現力が高まります。テキストメールではそれ
すらできないのです。
 それなら、HTMLメールにすれば良いといわれるかも知れませんが、ビジ
ネス上のメールのやりとりは、テキストメールを使うのが、基本的なマナーに
なっています。メールを送る相手がどのようなPCを使っているかわからない
からです。
 アウトルック・エクスプレスでは、初期の設定は「HTMLメール」になっ
ています。したがって、それをテキストメールに再設定しない限り、自らは意
識しないで、HTMLメールを送ってくる人が多いのです。メールを使う以上
は、基本的な勉強をしてから使って欲しいものです。

●なぜ、読みにくいEメールが多いのか

 もうひとつ大切なことがあります。それは、テキストメールが非常に読みに
くいことです。とくに文字数の多いメール――メールマガジンもそうですが、
非常に読みにくいのです。
 Eメールが読みにくい原因を上げてみます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.全角文字と半角文字が一緒に使われている
      2.右サイドが縦に揃っていないメールが多い
      3.マカロニメールになって届くメールが多い
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 Eメールが読みにくい最大の原因は、漢字やひらがなは全角、数字や英字は
半角でタイプされ、ごっちゃになって表示されていることです。そういうルー
ルがあるわけではないのです。Eメールを使うほとんどの人がそうしているの
で、そうするものと思っている人が多いのです。
 ところで、「マカロニメール」とは、一体何のことでしょうか。
 アウトルック・エクスプレスの初期設定では、半角76文字――全角38字
で自動改行が入ることになっているのです。この自動改行位置は設定によって
変更できるのですが、このことを知っているユーザは非常に少ないのです。メ
ールマガジンなどで、1行を40字で改行した場合、その前に38字目で自動
改行が行われ、そのあと40字でまた改行されて相手に届きます。そうすると
メールはブツブツに改行されて相手に届くことになります。こういうメールを
私の造語ですが、マカロニメールというのです。
 メールを送信するとき、それがどのようなかたちで相手に届いていることを
考える人は意外に少ないのです。筆書き、ペン書きのときは、下手は下手なり
に何とかきれいに書こうとするではありませんか。しかし、Eメールのときは
なぜ、その努力をしないのでしょうか。

●できる限りきれいなメールを送信しよう

 これに対する対策としては、次の方法があります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.英字/数字も、全角でタイプすること
      2.英語は極力全角のカタカナで表現する
      3.英文の文字列は、そのための行を用意
      4.自動改行を全角50字で行うよう設定
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 私は、Eメールでは、すべての文字を全角でタイプし、どうしても英文を使
うときは、改行して英文だけの行を作り、漢字やひらがなと絶対に混ぜないよ
うにしています。そのため、英字や数字はすべて全角でタイプするのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
     Windows = ウィンドウズ 87,500 = 87,500
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 なかでも重要なのは、自動改行の位置の変更です。初期設定で76字になっ
ている数値を100字に変更――つまり、全角50字までは自動改行が行われ
ないように設定し、50字以内に自分で意識して改行するのです。そうすれば
マカロニメールだけは避けることができます。

 それでは、自動改行位置の変更の設定について、アウトルック・エクスプレ
スを例として説明します。
 アウトルック・エクスプレスの「受信トレイ」の画面を表示します。そして
「ツール」+「オプション」と操作します。そうすると、「オプション」のダ
イアログ・ボックスが表示されます。
 たくさんあるタグの中から、「送信」のタグをクリックします。この画面の
「メール送信の形式」のところが、「HTML形式」になっているでしょうか
それとも「テキスト形式になっているでしょうか。
 もし、「HTML形式」になっていれば、HTMLメールが送られてしまい
ますので、「テキスト形式」の方にチェックを入れます。そのうえで、「テキ
スト形式の設定」をクリックします。
 そうすると、「テキスト形式設定」ダイアログ・ボックスが表示されます。
その下の部分で、「送信時に自動的に文字を折り返す」というのがあり、折り
返し数値が設定されています。このところを次のようにします。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
    送信時に自動的に文字を折り返す[100]文字目で
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 そのあと「OK」を押し、さらに「OK」を押すと、設定終了です。この操
作で、自動改行は全角50字目ということになり、メールの1行がそれ以内で
あれば、マカロニメールになる心配はないわけです。
 もっとも1行50字というのは、メールマガジンならともかく普通のメール
では考えられないことです。しかし、普通のメールでも1行を何字と決めて書
くことは大切なことです。普通の短いメールであれば、1行25文字ぐらいが
適当なところではないかと思います。
 1行を25文字と決めれば文字は全角でタイプし、25字目で自分の意思で
改行するべきです。そうすれば、読みやすいメールとして相手に届くのです。
      (「音楽事業者協会/JAMEメールマガジン連載記事」より)
posted by 平野 浩 at 13:54| Comment(33) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月11日

可視光通信とは何か

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
可視光通信が実用化されつつある
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 電波と比べて波長の短い電磁波、すなわち光は直進性が強く、遮蔽物を回り
込んで進むことはできないのです。無線通信が歴史的に低い周波数から実用化
され、技術の発展とともに高い周波数が使われるようになっていったのもこの
理由によるものです。
 現在、最も利用されているのはUHFとマイクロ波の領域です。UHFは携
帯電話、PHS、タクシー無線、テレビ放送、無線LANなどに使われていま
すし、マイクロ波はレーダー、無線LAN、電波天文、衛星通信放送などに利
用されています。
 これよりも周波数が高い領域は、現状では技術的にアンテナを小型化するこ
とが難しいため、一般向けの周波数帯としては今のところ実用化のメドが立っ
ていないのです。
 しかし、ここにきて、電波の代わりに光を使って無線通信をする「可視光通
信」が話題になっているのです。電波法によると、光には次の3種類があり、
可視光はその2番目に該当します。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
              1.赤外線
              2.可視光
              3.紫外線
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 つまり、可視光は、電波に属するミリ波、サブミリ波を超えて、しかも、赤
外線も飛び超える高い周波数で通信しようという凄い技術です。しかも、電波
の領域から飛び出すことになるので、電波法による規制の枠組みからも外れる
ことになります。
 ところで、可視光通信とは、どういう通信なのでしょうか。
 可視光通信というのは、オフィスや家庭の照明機器、屋外広告や信号機のよ
うな表示機器、自動車の灯具などが発する可視光を利用して情報を伝達する技
術のことです。とくに最近はそういう照明機器や表示機器に、発光ダイオード
(LED)が使われるようになってきているので、それが可視光通信の実現を
促進しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
LED = Light Emitting Diode
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 LEDを使った照明機器や表示機器は、「高速に点滅する能力」を有してい
ます。この可視光素子を人の目には感じられないほどのスピードで高速に点滅
させることにより、データを送信することができるのです。
 可視光通信には、それが文字通り目に見えることから、次の3つの利点があ
ります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.受信できているかどうかが、わかりやすい
      2.盗聴者の存在に気づきやすく、防ぎやすい
      3.伝送媒体となる照明機器はどこにでもある
――――――――――――――――――――――――――――――――――−
 可視光通信は、送信側が出す光をユーザが受信機で受けているかどうかを目
で確認できるので、少なくとも伝送可能な状態にあるかどうかを直感的に判断
できるメリットがあります。これが第1の利点です。
 可視光に対して電波は目に見えないことに加えて、材質によっては壁などの
遮蔽物を超えて飛んでいくことから盗聴が心配になりますが、可視光通信は光
が届く範囲が通信可能エリアになりますので、どこまで光が届いているかは目
で確認できます。したがって、セキュリティが重要となる通信では、光をスポ
ット状に絞り、範囲を狭めればよいのです。これが第2の利点です。
 無線LANは便利ですが、それを広範囲に拡大しようとすると、アクセスポ
イント数や設置スペースの確保、通信回線のつなぎこみ、電源の確保など、解
決しなければならない課題は山ほどあります。
 その点可視光通信は、既存の照明機器が使えるのです。既存の機器に通信回
路を追加して情報を送り出す機能を持たせることができるからです。これによ
って、設置スペースや電源は既に確保されているのです。通信回線は電力線通
信を利用すれば新たに用意する必要はないのです。これが第3の利点です。
 この可視光通信――現在、慶応義塾大学理工学部を中心に日本が世界をリー
ドしています。
可視光通信.jpg

posted by 平野 浩 at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

グーグルの情報共有

マスキンこと、ジャーナリストの増田真樹さんの著書に次の本があります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 増田真樹著
 『超簡単!ブログ入門/たった2時間で自分のホームページが持てる』
 角川ONEテーマ21
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この本の中に、世界でもっとも有名な検索サイトを運営するグーグル社のブ
ログ活用例が出ています。グーグル社といえば世界最先端の企業ですが、同社
では、ブログを電子メールの代わりに使っているのです。
 グーグル社では、全社員にブログを運営させています。社員は、仕事に関す
ることから趣味に関することまでブログに書いています。もちろん、業務報告
や会議報告などもブログに記載されています。社員のブログは会社全体の誰で
も見られるようになっていますが、機密情報も含まれるので、外部の人は見る
ことはできないようになっています。
 しかし、1O00人を超えるグーグル社員のブログの記事を一度に読むのは
大変なので、部署別、プ鴻Wェクト別、テーマ別など、それぞれの単位でそれ
を振り分けた仕組みを導入したのです。これによって、例えば、あるプロジェ
クトの情報を一元的に把握することができるのです。
 この制度を実施した結果、同社の電子メールの数が激減したというのです。
今まで一日に数百通届いていたメールは、一人当たり10通前後に減ったとい
うのです。メールを業務に使うようになって、最初のうちは便利だったのです
が、最近ではウィルスの激増もあってメールの処理だけで相当の時間を食うよ
うになっていたのです。つまり、メールは便利な用でいて、仕事の効率性を奪
う側面もあるのです。
 考えてみれば、メールは「送ったら最後」ですが、ブログの場合は、後から
間違いを修正したり、追加したりできるのです。ですから、とりあえず、サマ
リーを書いておいて、後から詳細を伝える方法も取れるのです。そのさいには
修正箇所、追加箇所がすぐわかるようにできますので、大変便利です。つまり
メールにない特性があるのです。
 グーグル社のブログによる情報共有−−どこの会社でも実施できる方法であ
り、検討してみる価値はあると思うのです。
超簡単!ブログ入門.jpg 

posted by 平野 浩 at 20:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月09日

3/9日経囲み記事

 2005年3月9日の日本経済新聞に注目すべき囲み記事が出ています。そ
の囲み記事のタイトルは、次の通りです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     『「ブログ記者」初出席/ホワイトハウス会見』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 記事の内容は、ワシントンの政治メディアに関する情報を主として扱うブロ
グ−−「フィッシュボウルDC」に所属するギャレット・グラフ氏というブロ
グ記者が、7日に行われた記者懇談と定例記者会見に正式に記者として出席を
許されたというものです。
 もっともこのグラフ氏、一週間かけてホワイトハウス広報と交渉して、やっ
と当日のみ会見場に出入りできる「一日記者証」を手に入れたに過ぎないので
すが、 グラフ氏は早速会見でのマクレラン大統領報道官の様子などをブログ
で詳しく報告しているのです。
 たとえ「一日記者証」でも、記者として出入りできたのは、ブログが正式の
メディアとして認知されたことを意味しており、画期的な出来事であると思い
ます。ホワイトハウスは、「幅広いメディアを受け入れるのはホワイトハウス
の伝統」としていますが、日本では絶対に認められないと思います。
 最近米国ではブログが大流行しており、昨年11月の大統領選においてもブ
ログがその勝敗に影響を与えたといわれており、ブログもいずれ正式メディア
として認められると思います。
posted by 平野 浩 at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月07日

弦楽五重奏の交響曲

ベートーヴェン作曲『交響曲 第8番 へ長調 作品93』(弦楽五重奏版)
エンシェント・コンソート・プラハ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 エンシェント・コンソート・プラハの弦楽五重奏によるベートーヴェン交響
曲シリーズは、第5番&第8番を皮切りに、全交響曲をCD化するという企画
だったはずですが、私の知る限り第5番&第8番以外は発売されていません。
きっと売れないので、企画を中止したのだと思います。もし、そうだとしたら
残念なことです。弦楽五重奏版は、ちょうど「ホケットサイズ版ベートーヴェ
ン交響曲」として、とても貴重なCDです。
 弦楽五重奏版ということで、われわれは、演奏にある種のエンタティメント
性を期待しがちですが、エンシェント・コンソート・プラハは、一切の妥協を
排除して作品そのものと向き合い、正真正銘のベートーヴェンの交響曲の真の
姿を描き出すことに成功しています。
 ベートーヴェンの交響曲第8番は、ベートーヴェンの交響曲の中では、もっ
とも明るく、遊び心を持つ作品です。きわめて簡潔な書法ながら、弾むような
リズムと豊かな旋律性にあふれた交響曲で、第2楽章では、メトロノームの開
発者メルツェルのために作られたとされるカノンの主題が使われています。第
3楽章では、第1番の交響曲以来使われることのなかったメヌエット楽章とし
て書かれており、古風かつ典雅です。
 ベートーヴェン自身は、この第8番交響曲を自身の第7番交響曲よりも優れ
た作品とみなしていたといいます。その初演は1814年2月27日にウィー
ンのレドゥーテンザールにおいてベートーヴェン自身の手によって行われてい
ます。この第8交響曲を弦楽五重奏で聴くと、少し趣の変わった新しいこの作
品の魅力が発見できると思います。早く購入しないと、絶版になること確実な
CDです。
ート・プラハ.jpg



posted by 平野 浩 at 15:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 特選CD紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月06日

クライバーのオペラ

ビゼー/歌劇『カルメン』全曲
/TDKコア[S]TDBA0060
カルロス・クライバー指揮/ウィーン国立歌劇場管弦楽団
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 カルロス・クライバーの音楽について知ろうとするなら、彼の指揮したオペ
ラを一曲聴いてみるべきです。一番いいのは、リヒャルト・シュトラウスの楽
劇『ばらの騎士』を聴くべきです。なぜなら、この曲ほどクライバーが愛した
オペラはないし、彼が一番得意とするオペラだからです。
 しかし、この『ばらの騎士』は、今までオペラをあまり観たことのない人に
とって少し難しいかもしれません。そこで同じシュトラウスでもヨハン・シュ
トラウスの次の喜歌劇をぜひ推奨したいのです。この曲なら、はじめてオペラ
を聴く人でも十分楽しめると思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ヨハン・シュトラウスU世
 喜歌劇『こうもり』≪全曲≫
 グラモフォン(ウニテル)[D]WOOZ24011〜2
 オットー・シェンク演出
 カルロス・クライバー指揮/バイエルン国立O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 問題なのはこれはDVDではなくLDなのです。LDを持っている人は少な
くなっており、誰でも観ることができないという問題点があります。私はこの
LDを所有しており、その素晴らしさがよくわかりますが、これほど満足感の
高い『こうもり』は観たことがないのです。
 このLDの映像編集者はデライアン・ラージという人ですが、彼は序曲だけ
でなく、あちらこちらにクライバーの指揮ぶりを実に巧みに挿入しているので
す。そのため彼の指揮ぶりが一層良くわかるようになっています。とにかくク
ライバーを聴くのに、これほど最適なLDはないと思います。
 しかし、LDを持っていないがどうしてもクライバーの指揮するオペラを観
たいという人にとって朗報があります。1978年にクライバーがウィーン国
立歌劇場を振った歌劇『カルメン』がDVDで再発売されています。正式の発
売日は11月26日ですが、ネットショップは既に売っています。データを示
します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ビゼー
 歌劇『カルメン』≪全曲≫
 TDKコア[S]TDBA0060
 カルロス・クライバー指揮/ウィーン国立歌劇場O
  カルメン:エレーナ・オブラスツォワ
  ホセ  :プラシド・ドミンゴ
  ミカエラ:イゾベル・ブキャナン
 収録/1978年12月/発売2004年11月26日
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 私は『カルメン』というオペラが好きなのです。それには理由があります。
それは私が最初に観たオペラであるからです。1959年11月――ちょうど
日本にはイタリア・オペラが来ており、東京文化会館で公演が行われていたの
です。マリオ・デル・モナコ、レナータ・テパルディなどによる公演です。
 しかし、切符は完売であり、入手不能でした。ちょうどそのとき、パリ・オ
ペラ座が同時に来日中で、歌劇『カルメン』を有楽町の東京宝塚劇場で公演中
だったのです。こちらのチケットについては何とか入手できたので、観ること
ができたのです。
 オペラというのは、すべてそうですが、1回観ただけではその良さを理解す
るのは難しいと思います。しかし、パリ・オペラ座の公演には圧倒されたこと
を覚えています。その後、機会があるごとに何度も『カルメン』を観て、私の
最も好きなオペラの1つになったのです。
 そういう『カルメン』好きの私から見て、クライバーの『カルメン』は絶対
に買いであると思います。クライバーの棒とウィーン国立歌劇場についてはい
うに及ばず、いうことなしですが、それに加えて、歌手の選択が実に適材適所
であるからです。
 主役のホセという役柄は、最初は真面目で柔和な人間がカルメンと接するこ
とによって野卑で凶暴な性格に変貌していく――その変化を演ずる歌手でない
と務まらないのですが、ドミンゴはその役柄を見事に演じています。
 オブラツォワのカルメンもまさに適材――一種の繊細さを保ちながらも自由
奔放に生きる妖婦の姿を巧みに演出しています。このオペラは、妖婦としての
カルメンとホセのドロドロとした関係の中に唯一清楚さを演出するホセの許婚
のミカエラの存在が重要なのですが、ブキッャナン扮するミカエラも実に印象
的です。
 クライバーの指揮については、音楽評論家である宮崎滋氏が次のように述べ
ています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 クライバーの棒の持つくだんの精彩は、この『カルメン』全編にゆきわたっ
ており、その終始たたみかけるような音楽作りからオーケストラの内奥からの
鳴りの良さ、舞台を際立たせるための演出的な棒さばき、そして彼独自のきわ
めて刺激的なアタックや強烈な現代感覚が舞台幕開けから一本の筋金のように
読み取っていける演奏。文字通りクライバー音楽の特性が集約 されているか
のような一曲である。                   ――宮崎 滋
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 このオペラの演出は、フランコ・ゼッフィレッリ――彼の演出についても、
批評家の評価は高いのです。ゼッフィレッリの一流のスケール感、舞台装置の
充実性、具象的でわかりやすい演出でいながら、安直な箇所はひとつもないと
いう格式と重量感を感じさせる演出と絶賛しています。
 とにかくクライバー、ゼッフィレッリ、ドミンゴ、オブラツォワによる『カ
ルメン』――26年ぶりに甦るのです。検討していいDVDでしょう。
クライバー指揮/歌劇『カルメン』.jpg
posted by 平野 浩 at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 特選CD紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。